株主・投資家の皆様へ

MESSAGE

紺野俊也

株主の皆様には平素より格別のご支援およびご厚情を賜り、心よりお礼申し上げます。

当期は、レストラン事業・物販事業ともに収益が拡大し、うかいグループとして増収増益での着地となりました。
第2四半期には資産除去債務の追加計上による減価償却費の増加などから通期業績予想を下方修正することになりましたが、最終的に期初計画を達成することができたのは、グループ社員全員で数字を共有したうえで、業績にこだわり頑張った結果であると考えています。

『東京 芝 とうふ屋うかい』については、2025年5月の閉店発表以降、皆様から「悲しい」「もったいない」などのお言葉をいただき、「予約がまったく取れない」といわれるほどの盛況が続く中、去る3月31日をもって20年にわたる歴史に幕を閉じました。長きにわたりご愛顧くださったお客様、そして関係先の皆様に改めて心より感謝申し上げます。
『東京 芝 とうふ屋うかい』は創業者である鵜飼貞男が陣頭指揮を執った最後の店舗であり、私もなんとか続けられないものかと時間をかけて交渉してきましたが、最終的には定期借地権の契約期間終了によるものと割り切って従業員とともに次のステップに進もうと決意しました。基幹店の閉店は経営的には大きな痛手となりますが、その一方、振り返ってみると、こうした危機的な状況に陥ったことで中長期的にうかいが成長を続けていくためには何が必要か─今後のビジネスの方向性を突き詰めて考える大きなきっかけとなり、長期経営構想の策定につながったのも事実です。
閉店にあたり、従業員には「胸を張って終わろう」と話しました。残念ではありますが、業績不振などではなく、誇れる業績を確保しながら、惜しまれながらの閉店です。社内では今、同店で働いていたスタッフも含め全員が前を向き、各自の業務で新たな挑戦を始めています。

2025年10月、成長戦略の一環として『箱根ガラスの森美術館』を運営する文化事業を、ダイコク電機株式会社の100%子会社として設立された株式会社箱根ガラスの森リゾートへ承継しました。中長期を見据え、うかいの方向性を模索する中で、経営資源を「食」に集中する一方、文化事業については、これまで守り継いできた美術館の価値をどのように未来へつないでいくべきか考えました。そのうえで、新たな体制のもとでさらに輝きを高めていくことがより良い選択であると考え、スタッフとともに託すこととしました。
先日、久しぶりに美術館を訪問し、スタッフがいきいきと仕事に励んでいる姿を見ることができました。30年も継続した事業を手放すのは経営者として苦しい決断でしたが、大切にしてきた理念がしっかりと受け継がれていることを実感し、この決断は双方にとって良い形につながっていると感じています。

≪ビジョン実現のための成長戦略≫
未来を見据え、持続可能な成長を実現するための長期経営構想

当社は2035年にありたい姿(ビジョン)として「多様な食の業態に携わり、永続企業・ブランドを築き、すべての人に笑顔や感動、幸せな時間をプロデュースする」を掲げ、ビジョン具現化のための重要施策として「収益力の向上」および「人材力強化」への取り組みを開始しました。
キーワードは「循環」です。重要施策に基づき複数のプロジェクトが動いていますが、それぞれが結びつき好循環を生み出すことでシナジーが最大化され、グループとして大きな成果につながるものと期待しています。

収益力の向上①
◆京王プラザホテル内に豆腐をメインとするレストランをオープン
新たな顧客層獲得により収益向上を図る取り組みの第一歩として、京王プラザホテル(新宿)本館2階に『THE UKAI TOFUYA』を新規出店することになりました。開業は本年12月を目指しています。
新店は「とうふ屋うかい」のDNAを受けつぎながら、初のホテル内直営店として、和モダンな空間、朝食の提供、サロンエリアでのお酒・菓子の提供、結婚式・宴会での食事提供など従来のとうふ屋とは一線を画し、既存レストラン事業の延長にとどまらない様々な取り組みに挑戦することで、インバウンドを含めホテルを訪れるお客様に特別なひとときをご提案していきます。
新しい挑戦の一つとして、食材としての「とうふ」を前面に出し、その魅力を世界に向けて発信していくことを目指します。そのために、とうふの美味しさを最大限に引き出すことができるメニューの開発も重要です。従来の「とうふ屋うかい」ではやらなかったものも含め、和洋中のジャンルを超えて様々な調理法に挑戦していきたいと考えています。
また、京王プラザホテルが位置する新宿西口エリアでは大規模な再開発プロジェクトが進行中で、街の利便性向上に伴い今後は一層のインバウンド需要拡大が見込まれています。これは新宿出店により獲得したチャンスであるとともに、新宿を起点とした京王線沿線に位置する創業店『うかい鳥山』をはじめ、八王子エリアの各店舗へと価値体験が広がる成長機会でもあります。新店を発信拠点として各店舗とのシナジーを高め、店舗間を回遊する価値体験の循環を生み出す仕組みの検討を開始しています。

収益力の向上②
◆トップブランドの枠を超えた新たな事業モデルを開発
新たな顧客層の獲得とともに、若手スタッフの活躍の場の確保を目指し、セカンドブランド構想として既存トップブランドの枠を超えた小規模・高効率型事業モデルの開発に取り組んでいます。第1号として開業を予定していた薪焼レストランについては、開業のための前提条件を確保することが困難となり一旦計画を中止としましたが、続く第2号としてうかい亭セカンドブランドの新規出店を検討しています。
うかい亭では一組のお客様を一人のコックが担当し、お客様をおもてなししながら最高の料理を作るのが醍醐味ですが、セカンドブランドでは、ライブ感のあるオープンキッチンを特徴とし、これによりお客様は調理風景を見ることができる一方、若手コックは接客が不要で調理に集中でき、技術の早期上達が可能となります。
こうした新業態の取り組みでは、とうふ屋のセカンドブランドについても実現可能性を模索しています。うかいのとうふは自社工場で製造していますが、セカンドブランド展開のためには新工場建設による製造能力の増強が不可欠であり、こちらの進捗によりセカンドブランド構想も可能性が広がるものと考えています。

収益力の向上③
◆ビジョン実現のドライバーとして物販事業の成長を加速
製菓・食物販の2軸で展開する物販事業については、うかいグループにおける新しい収益の柱として重要な役割を担っています。
製菓事業では、製造機能に加え、体験型工房とカフェを併設する複合型施設として第2工房の建設を進めており、初秋には稼働を開始する予定です。
これまで取引先からの要請や需要増に対応し、EC事業の拡充や関西圏への出店、催事出店などを通じて販売拡大を進めてきましたが、すでに第1工房の能力が限界に近づいており、生産能力の増強は喫緊の課題となっていました。新工場の稼働により生産能力は2025年比3倍に高まる予定で、これを機に販売拡大の加速につなげていきたいと考えています。すでに取引先の要請に応えて今期中には複数の常設出店を予定しているほか、催事出店についても全国から多数のオファーをいただくなど需要は高く、5年後に売上倍増、10年後には50億円を目指します。
製菓以外の食物販では、レストラン部門との連携強化により商品開発スピードが大幅に向上し、魅力的な新商品が次々に生み出されるようになってきました。また、とうふについては、先程セカンドブランド展開の課題として申し上げた新工場の建設が、食物販の拡大においても重要課題となっています。生産能力・生産効率の向上により催事やオンラインショップ、さらに常設店の開設も視野に入れ販売拡大の加速を図りたいと考えています。

人材力強化
◆「UKAI Academy」、セカンドブランド構想で若手が成長を実感できる環境を整備
慢性的な人手不足の中、優秀な人材に当社を選び、長く働き続けてもらうためには、時代に合わせて人材育成・社内制度など現場環境を継続的に強化・整備していくことが不可欠です。
その一環として、2025年5月に「UKAI Academy」を立ち上げ、うかい亭の鉄板料理を学ぶ講座を開設しました。すでに第1期3名が卒業して新たな営業コックが誕生しています。
また、先述のように、彼らが技術を磨きながら活躍できる舞台として、うかい亭セカンドブランド構想も進んでいます。アカデミーを卒業した後はセカンドブランドの店舗で腕を磨き、次にトップブランドのうかい亭に入るという育成の流れを作っていきたいと考えています。
アカデミーについては、「UKAI Global Academy External」として7月に社外からの生徒募集をスタートしました。当社の人材確保・定着を図るためのアカデミーですが、同時に、アカデミーでしっかりと技術を習得した人がうかい以外の場で活躍することも、うかいブランドの価値向上につながっていくはずです。また、いずれは海外からの受講希望者も積極的に受け入れ、国内における人手不足問題の改善を図るとともに、海外人材が国内店で経験を積んで一流のコックになって海外へ戻り、うかいの海外店で活躍するなど、国内店から海外店への流れが創出できればと考えています。
私はかつてフランスで修行したことがありますが、料理店の厨房は、フランス料理を学ぶ若い料理人が世界中から集まる活気あふれる学びの場でした。これは私の夢ですが、いつか銀座うかい亭でも一流を目指す若い料理人が世界中から集まり、接客をしながら調理をする─そんな風景を見てみたいと思っています。

株主の皆様へ
第45期については、基幹店の閉店もあり、前年同期比減収減益を見込んでいますが、株主還元につきましては、安定的かつ継続的に配当を行うという当社方針を踏まえ、前年同期と同様1株当たり15円を予定しています。当社にとって、この一年は、アトリエうかい第2工房の稼働、『THE UKAI TOFUYA』のオープンと、来期以降の飛躍に直結する大きなイベントが控えた重要な時期です。やるべきことを着実に進め、しっかり準備をして皆様のご期待に応えられるようにしていきたいと考えています。今後とも変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。


代表取締役社長
紺野俊也
紺野俊也